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CM作家 東條忠義

1月17日。夜明け前の午前5時。
高速に乗り一路長野県安曇野市にある白鳥湖(犀川)に向かった。
この時期シベリアから越冬のため冬をこの地で過ごす白鳥たちを見たくなり
カメラ持参で出掛けた。
陽もすっかり上がった白鳥湖にはカメラに収めようと集まった人も多い。
今年は飛来した白鳥の数はあまり多くないと言う。
それでも犀川上流から下流まで数百メートルにわたって白鳥やカモが羽を休めている。
北アルプスから吹き下ろす冷気が身に堪える。
しかし間近で見る白鳥やカモ達の顔、とても可愛い。
一度お出掛けあれ。

「六十秒のエッセイ」
昔サントリー角瓶の 雁風呂(かりぶろ)という東條忠義の60秒CMを思いだした。


月の夜、雁は木の枝を口にくわえて、
北国から渡ってくる。
飛び疲れると、波間に枝を浮かべ、
その上にとまって、羽根を休めるという。
そうやって津軽の浜までたどり着くと、
いらなくなった枝を浜辺に落として、
さらに南の空へと飛んでいく。
日本で冬を過ごした雁は、早春の頃、
再び津軽に戻ってきて、
自分の枝を拾って、北国へ去っていく。
あとには、生きて帰れなかった雁の数だけ枝が残る。
浜の人たちは、その枝を集めて風呂を焚き、
不運な雁たちの供養をしたのだという。
「あわれな話だな、日本人って不思議だな」




作品は、青森県外ヶ浜に伝わる逸話を素材とした、70年代のサントリー角瓶のCMです。今でもはっきり覚えている。山口瞳が最後にナレーションで「あわれな話しだなぁ、日本人って不思議だな~」で終わる60秒の名作です。
1973年度ACC賞グランプリ作品。
昔の人は自然の中で動物たちとうまくつき合って暮らしていたんですね。
●発行:2008年9月5日 宣伝会議

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